Top

お酒を飲もう!

25
賀正

さて、お嬢もおやっさんも、お疲れさんでした。
クリスマスから年末年始とお手伝いくださってありがとうございました。えぇ本当に助かりましたよ。
これでようやくアタシも店も明日からちょっと遅い正月休みに入れますよ。
ではお客さんも居なくなったことだし、看板おろしちゃってのんびりと初詣でも行きませんか?三が日過ぎちゃったけどまだ屋台出してる神社が駅裏にあるんですよ。何かあったかいものでもご馳走しますよ。
それにしてもお嬢はとうとう帰省しなかったですねぇ。いや、おかげで手伝ってもらえてアタシは助かったですけどご両親とか寂しがってるんじゃないですか?
正月に帰っても姪ごさん達にお年玉ねだられるだけ?そっか、子供さん連れのご姉妹が自宅に帰った後の今度の三連休に帰るんですね。じゃあちょこっとのお給料で申しわけないですけどお土産でも買って行ってくださいね。
おやっさんはまた帰る家も無きゃ行くアテも無いですもんね。何だか毎年顔合わせて酒呑んでましたよね。仕事、明日からなんでしょう?最後の休み、今日は一日ゆっくり休んでくださいね。
ほら、着いた。駅裏の呑み屋通りからまたちょっと外れた路地のお稲荷さん。ここが意外と穴場でね、この辺の呑み屋の皆さん、大抵ここで初詣するんですよ。しかも皆正月商いが落ち着いた三が日過ぎに来るもんだから屋台も鏡開きの頃まで出てるんですよ。ま、屋台ったってたこ焼きと甘酒の二つっきりですけどね。
ささ、まずはお参りお参り、はい、お賽銭これ使ってください。五円ぽっちですけど今年も良いご縁がありますようにってね。はい?ベタですか?すみませんねぇ。
で?お二人は何をお願いしたんですか?内緒?そりゃまぁそうですね。アタシですか?そりゃ当然商売繁盛ですよ。
ささ、あったかいものでも呑みましょうかね。

甘酒

しょうがをちょっと入れてね。箸でかき混ぜながら、っと。
そうそう、甘酒って言うと今じゃすっかり冬の飲み物ですけど元々は夏の飲み物だったんですよね。
土用の丑と同じようなもんですかねぇ。栄養価が高いから夏バテや疲労に冷した甘酒を飲んでたんですよ。俳句の季語でも甘酒って言ったら夏のことなんだそうですよ。
古くは応神天皇に古代の大和民が醴酒(こざけ)という甘酒と同じ種類らしい酒を献上したと日本書紀に記されていますから由緒と歴史ある飲み物なんですよ。
ささ、たこやきでもつまみながらもう一杯どうですか?酒と名はついているけど実際は酒じゃないから酔っ払う心配もありませんしね。
ここのたこやき、これがねぇまた美味いんですよ。天然の塩とダシで味付けしてたっぷりのキャベツにネギと紅生姜、たこやき自体に味があるからソースは無しでいただける、手づかみでも平気ですよ。勿論ソースにマヨネーズつけても美味いですがね。歩きながら手でぱくぱくやるのがイイんですよ。
さて、夜も明けてきたことだし今日はこれでお開きしますか。
店は十日ほど休んでまたいつもの時間よりちょっと早めに開きますから。手伝いのお礼がてら美味しいもん仕入れて待ってますんでよかったら寄ってやってください。
えぇ、ちょっと旅でもしてきますよ。
今回は日本の真中より南の方で美味い酒と肴探して歩いてみますから、楽しみに待っててくださいね。
それでは今年もどうぞ酒話の店をよろしく


<2005.1.5>
26
父の夢

やぁお客さんいらっしゃい、今日はまた随分若いお連れさんですね。え?息子さん?そりゃぁまた、ご立派なお子さんがいらしたんですね。
そうですか、二十歳のお誕生日ですか。自分の息子と飲み屋で酒を酌み交わす……いいですねぇ子供を持った父親の夢ですよね。
さて、今日は何をさしあげましょう?
はい?何か記念になる酒を?
じゃぁ、1月産まれのお客さんへは……
1月は確か誕生石がガーネットでしたね。あの深い深い赤い石、パワーストーンとしても有名ですよね。
ではこんなカクテルはいかがでしょう?

「ガーネット・キール」

「キール」と言えば有名な白ワインとクレームドカシスをステアしたカクテルですが、そのカシスの代わりにスロージンを使ってさらに深みのある赤にしちゃうんですよ。スロージンはスローという暗紫色の西洋のすもものことです。こいつを漬け込んだリキュールです。
どうです?見事なガーネット。
ガーネットは愛と決断のパワーストーンなんだそうですよ。
古くは古代エジプトで守り石として使われていた最も古い宝石なんだそうで、石の意味もありましてね、ユダヤの伝説ではノアの箱舟の灯火だったと伝えられるそうです。
なんてね、最近誕生月のカクテルなんか意識して出してるもんでちょっと勉強しちゃったんですよ。宝石の言葉が真実とか友情とか勝利とかだそうです。
はい?センター試験だったんですか?2年浪人して?そりゃぁちょうど良かったかな。きっとこのガーネットの色の酒が勝利をもたらせてくれますよ。
はいはい、うんちくはこのへんにして、何かつまむもんでも出しましょうかね。
「クリームチーズとグリッシーニ」
ちょっと前にイタリア料理が流行った影響で日本でもすっかりおなじみになったパンですね、グリッシーニ。クラッカーみたいな感じでちょっと小腹が空いた時の肴にはいいでしょう。こいつでクリームチーズをすくって食べてください。
それから「グリッシーニ生ハム巻」いかがですかね?このパンに生ハムを巻きつけただけなんですけど、これがなかなかイケるんですよ。
でもこればっかりじゃ野菜が足りないから、クリームチーズに野菜スティック添えて。生ハムと一緒に刻んだパセリ添えて。さぁどうぞ。
息子さん、初めてのお酒ですか?そうでもない?まぁ今時の若い方はそれなりにお酒と馴染む場所もあるでしょうから。これから大学入ったらまた呑む機会も増えるでしょうしね。
最後に一月にとっておきいいカクテル作りましょうか。

「ホットバタードラム」

まずは温めたグラスに、あ、コーヒーカップでも良いですよ、それに黒砂糖を入れてお湯を少し注ぎ溶かして次にダークラム、今回はマイヤーズでも使いましょうかね、これを入れ好みの濃さになるようお湯で割る。最後にバターを溶かしてできあがり。シナモンスティック添えるといいですね。
急に冷えが厳しくなる1月頃にちょうど良い具合に体を温めてくれますよ。試験勉強で疲れた体にも効くでしょう?勿論仕事疲れのお父さんにもね。温かくてちょっと甘い酒は疲れた体にじんわりと染みますからね。
「人の気を鎮めてくれるものはラム酒と本物の信心」って昔のイギリスの詩人が書いてますから、ラムにもガーネットと同じように何かしらパワーがあるのかもしれませんよ。
他にもコーヒーやアイスクリームにちょっと垂らして風味を楽しむ呑り方もありますから、彼女ができた時一緒に楽しむといいかもしれませんね。
え?もう彼女いるんですか?受験生だったのに、余裕ですねぇ。
まぁよかったら今度はぜひその彼女も一緒においでください。息子の彼女と三人で軽くおしゃれに酒呑んで帰るは奥様の待つ暖かい家。
うーん、これぞ父親の憧れってやつですねぇ。
さ、お父さんにも、もう一回乾杯。
息子さんから今までのお返しにって酒を呑みに連れてってもらう日もそう遠くはないですかね。


<2005.1.17>
27
ふくろうが見てる

やぁお客さんこんばんは。冷たい日が続きますねぇ。
え?雪だって?積もりそうですか?もう積もってる……電車、大丈夫そうですか?遅れは出てるけど止まってはいないですか、そりゃ良かった。
でもこれまた明日の朝が大変でしょうねぇ。
ま、降っちまったもん心配しててもしょうがない。今夜は何をお呑りに?いつものスコッチでいきますか?
え?何?ワインですか?
こりゃまた珍しい。そんな事言うから雪が降るんですよ。はいはい、ワインですねっと、何かリクエストでもおありで?
堅苦しくなくて呑みやすくてさっぱりと……?最近のワインなんて皆呑みやすくて堅っ苦しくなんか無いですよ。
人に紹介して恥ずかしくない?でもってリーズナブル?
ははーん、わかりましたよ、さては彼女でもできましたね?それで食事でも誘うつもりでワインのお勉強なんだ。
ま、ワインなんてその店のソムリエか、居なきゃウェイターに頼むのが一番いいんですけどね。
食事じゃないの?まさかいきなり部屋とか言わないでくださいよ。
え?どれも違う?……商用?賄賂にでも使うんで?だったらリーズナブルなんて言ってちゃ……あぁ冗談ですよ、冗談。
ふーん、レポート作るの手伝ったくれた上司の方へのお礼にねぇ。じゃ、あんまり高価なもんでもかえって嫌味ですもんねぇ。
さらりとさり気なくて気の利いたワイン……って、何でワインなの?ワイン好きな方だと好みもあるだろうから逆に失礼にあたりますよ?
なるほどなるほど、今まで酒も外食も興味なかったのに接待任されるようになっちゃって、ねぇそりゃ大変だ。
んじゃ、とりあえずこんなもんでもどうでしょうかねぇ……

「ラ・キュベ・ミティーク 赤」

「えー?ワインの味なんて解んないよー」なんておっしゃる方にこそ呑んでもらいたい。
可愛いでしょう?ラベルのふくろうがちょこんとこちら向いてる。
呑み口は軟らかくてお年を召した方にも女性にも好まれますよ。それでいてワインとしてのボリュームはしっかりとあるのでそりゃもう満足感も充分に満たされますよ。
どんな肴にも合いますしね。チーズでも野菜でも肉でも魚でも。これ、酒としては結構重要ですよね。
でね、安いんです、コレ。
ね?呑みやすいでしょう?
牛刺にたっぷりしょうが乗せて、季節の野菜をちょっと煮込んで合わせて頂くとなかなかいい感じですよ。
もっとも、今牛刺も煮物も無いんでビーフジャーキーで申し訳ないですが。
あ、カンパーニュがあるんで薄切りにして明太子のソースでも塗りましょうか。
カンパーニュですか?フランスのカンパーニュ地方で作られてる胚芽パンですよ。ラグビーボールの形がこれまた可愛いでしょう。
ちなみにこのパンを薄切りにして山葵たっぷり塗った刺身なんか乗っけても、これがなかなか美味いんですよ。
アタシの友達にコレが大好きな人がいてねぇ。
いろいろ塗ったり乗せたりするのも美味いけどそのまま何も塗らずにかぶりついてもイケるんだって。
もちろん彼女、カンパーニュにこのワインは欠かしません。
というか、このワインにカンパーニュを欠かさないって言うんでしょうかね。
いやぁ違いますよぉ。お客さんですよ、ただのワイン好きなお客さん。
そう言うお客さんこそ彼女はどうなってるんですか?
もうすぐバレンタインですよ?また今年も職場の義理しかなかった、なんてんじゃないでしょうねぇ?
え?アタシですか?アタシは勿論!たくさんのお客さんから頂きますよ。義理でね。
おや、一本空いちゃったですねぇ。
以前ワインはあんまり好きじゃないって聞きましたけど、案外呑めちゃうもんでしょう。そういう人にこそお薦めできるワインだと思いませんか?ね?
ほら、ラベルのふくろうも笑って頷いてる。


<2005.2.2>
28
2月は愛を語るカクテル

やぁお客さんいらっしゃい。珍しいねぇこんな遅くに。
バレンタイン、終っちゃいましたけど今年の成果はどうでした?会社で義理チョコ三つ?いいじゃないですか全然貰えない人だっているんですから。
何?今夜は何か暗いですねぇ、何かあったの?
ははーん、意中の彼女から貰えなかったんでしょ、え?違う?
今年は娘さんから貰えなかったって?
そりゃお嬢さんもお年頃になればいつまでもパパ、パパ言ってくれないもんでしょう。
はい?問題はもっと深刻?
ここ数年誰にもあげてないって?いいじゃないですか。悪い虫がついてないってことでしょう、父親としては一安心ってとこじゃないんですか?
そうじゃなくて?……
…………
なるほどーそりゃ悩みますねぇ。
例え恋人であっても自分の誕生日にチョコだのプレゼントだのあげるのはちょっと嫌ですもんねぇ。
それでここ数年お嬢さん意固地になって誰にもチョコあげないって決めちゃったんだ。
そろそろいい年なのに彼氏の一人もできないで逆に心配?まぁ、そういう心配もあるもんですねぇ……
お嬢さんお幾つなんですか?23?まだまだいい年ってほどじゃないじゃないですか。これから先幾らでも考え方とか変ってきますよ。来年あたりひょこっと手作りしてたりするかもしれないし。
で?父親としては誕生日のプレゼント、何を贈ったんですか?
えー!?何もあげてないの?そりゃダメダメですよ!年頃の娘に何あげていいのかわからない?困ったお父さんだねぇ。
もうバレンタイン……じゃなくて誕生日から4日も過ぎてますよ。今からでも遅くないから何か考えてはどうです?
そうだなぁ……ハタチ越えてるんだし、ここはいっちょパパのお手製カクテルなんてどうです?
恋人達の日に産まれたお嬢さんにぴったりのヤツがありますよ。

「ブルームーン」

ドライジンにパルフェタムールとレモンジュースをシェイクして。いや、シェイクなんてそんなに難しいもんじゃないですよ。お酒に弱いお嬢さんならジンを少なめにしたり、適当に調整してあげるといいですね。
どうです?きれいな紫色でしょう。
パルフェタムールはスピリッツに菫の花の色と香りを混ぜ込んでオレンジやレモンにバニラなんかを配合した甘いリキュールなんですよ。菫といえば愛の花、そしてこのパルフェタムール、フランス語ですが、その意味がなんと「完璧な愛」色は穏やかな大人の女性を表現する透明な紫。これからどんどん女性として花開いていくお嬢さんにはまさにぴったりのカクテルでしょう。
しかもこの色、2月の誕生石アメジストを連想しませんか?
そうですねぇこのカクテルにアメジストのイヤリングでも添えて、どうです?
そういえばアメジストは古代のエジプト時代からアクセサリーとして活躍してますけどね、アメジストのグラスで酒を呑むと酔わないとか粉末にしてそれを飲むと二日酔いにならないとか、酒にまつわる迷信が多いんですよ。
あと、お守りとして持っていると恋が叶うとか言われてますねぇ。
お嬢さんに良い出会いが巡ってくるように、あと大人として上手に酒をたしなむお守りがわりにいいかもしれませんよ。
これこそ娘を思う父からのプレゼンとして相応しいと思いませんか?
あ、やってみます?カクテル。
じゃちょっとシェーカーの振り方でもお教えしましょうか。
まず氷入れて、分量はこのカップで測るんですが、そうそう、それをシェーカーに放り込んで、次パルフェタムールを、そしてレモンジュース、そうそう、そして顔の前でこんな風に8の字描くように……上手いじゃないですか、カッコいいですよお父さん。
そうそう、そしてグラスに注ぐ。
ヘタすると「彼氏作るよりお父さんと一緒にいる方がずっといいわ」なんてなっちゃうかもしれませんねぇ。


<2005.2.17>
29
大和の酒と菜の花で

やぁお客さん、ちょうどいい所に来た。え?何がちょうどいいって?まぁとにかく入って入って。
酒は今日はどうします?八海山?吟田川?それとも越乃白雁?はい?

「稲の国の稲の酒」?

こりゃまた珍しい。いつも北の酒ばっかり呑んでる人が西の酒ですか。どういう風の吹き回しで?
年末にそっちの友達に贈ってもらった酒がやたら美味かった?
まぁ確かにいい酒ですよ。なんてったって米がいい。奈良の農家と契約して杜氏に蔵人達が自分達で田植えから稲刈りまで関わってるそうですよ。
それにあっちの方、大和地方ったら酒造りの発祥の地ですからね。日本で最も古いお酒の神様を奉る……え?能書きはいいから?
しょうがないなぁ、燗にします?はいはい、冷でね。じゃぁとっておきの桧の杯でも出しましょうかね。杯っていうより湯呑ですけど。えぇ信州の方旅行した時に気に入って買ったんですよ。さ、湯呑の下に受け皿置いてたっぷりいきましょ。
いい酒ですよねぇ。さっぱりしすぎてなくてでもべたついてなくて、辛口なんだけど上品に甘いんですよね。
はい?さっき何がちょうど良かったのかって?あぁお客さん来た時のことね。
そうそう、この間ねテレビで肝臓にいい春の食べ物ってやってたんですよ。
お客さんよく呑むし、いつもよく言ってるじゃないですか。最近起き抜けが調子よくないとか食欲があんまり無いのにやたら太ってきたとか。
勿論アタシも似たようなもんなんでね、やばいなぁと思って観てたわけ。
それで今日やっと買い出しして作ってみたってわけですよ。
「菜の花の酒粕蒸し」
いや、ホントはどんな料理名だったか忘れちゃったんで名前は適当なんですがね、レシピはちゃんと控えてますから大丈夫。
少量の酒粕と醤油、砂糖にシソ油をよっく溶かしながら混ぜて下茹でした菜の花と水で戻した干椎茸の切ったのを和えてアルミホイルでくるくるっとくるんでオーブントースターで8分から10分。
ね?いい香りでしょう。
なんでもヨーロッパの方では昔から肝臓に良いとかで食べてたそうですよ、菜の花。これに酒粕と干椎茸を一緒に摂るのが良いってことでこの料理が紹介されてたんですけどね。
まぁまぁイケる?よかった、これからうちのメニューに加えようかな?簡単だし。
はい?でもこういうのは毎日摂らなきゃダメなんだろうって?うーんそうですねぇ、テレビでも二週間とか三週間とか言ってましたねぇ。そりゃ無理?毎日は食べられない?
まぁ確かに毎日は辛いかもしれませんねぇ。
あ、でも酒粕を甘酒にして菜の花と椎茸を普通におひたしにすればいいんじゃないです?これなら二日に一回くらいいけるでしょう。それにゴマ振ったりするといいかもしれませんねぇ。まぁ他にも菜の花ったら辛し和えとか卵巻きとかいろいろできるし。菜の花だけなら旬の間毎日でも食べれますよ。
はい?いつになく酒以外の事で熱心だ?
そりゃね、まだまだ残り人生あるようですから、肝臓壊してドクターストップなんてなっちゃったらアタシ生きてる意味が無いですからね。ちょっとでも良いって話ならそりゃ飛びつきますよ。それがこんなにお手軽料理ならなおよろしってね。
それにしてもまたこの酒に合いますねぇ。
え?酒のアテに酒粕料理だって?あぁそう言われればそうですね。でも酒の酵母って体に良いそうですから。
はいはい、お酒もう一杯ね。
それにしても「酒は北国」に拘ってたお客さんを開眼させたですか、この酒。
さすが日本酒の起源の国で産まれた酒ですね。
どれ、アタシも今夜は一杯いこうかな。


酒提供やん様 多謝!
肴情報「おもいっきり生テレビ」より
<2005.3.1>
30
海からの誕生日贈り物

やぁこんばんは、お客さん。そろそろ春らしく暖かくなってきましたねぇ。
え?全然暖かくない?心も財布も冬のまま?
バレンタインにふられたのまだ引きずってんの?もう一ヶ月経ったんだからいいかげん忘れなさいよ。
あぁはいはい。すみませんねぇ、そう簡単に忘れられるもんじゃないですよね。
しかも不景気は変わらずだし、こんな夜遅くまで年頃の娘さん残業やらせておいて会社は残業代出さないしねぇ……
仕事忙しくてせっかく彼氏できてもすれ違っちゃぁ別れて、まぁ今時のお嬢さんもほんと大変だ。
しかも?何?
あらまぁ今日誕生日だったの?
年頃って言ってももういい年なんでご両親も祝ってくれないし?あぁそりゃお孫さんできちゃったらしょうがないですよ。お兄さんとこでしたっけ?昨年末に始めてのお子さん産まれたの。
まぁまぁ、そんなになげかないで。
お客さん毎日お仕事も一人暮らしも頑張ってるんだから、必ず報われる日が来ますよって。
しょうがないなぁ、よっしゃ、せっかくの誕生日だ。アタシが一杯とびきりのやつをご馳走しましょう。
何がいいかなぁ、春らしくチェリーブロッサムとかサクラクーラー、チューリップカクテル……うーん、どれも今一つお嬢さんのイメージじゃないなぁ……そうだ、コレかな?

「アクアマリン」

そのままずばり3月の誕生石アクアマリンですけどね。
アクアマリンは航海のお守りとして中世ヨーロッパの船乗りが身に付けていた石だそうで、伝説としては船乗りに恋した人魚の涙が宝石になったものだとも言われるそうです。
昼間は爽やかで涼しげに光る石ですけど夜になるとさらに輝きを増す性質から「宝石の夜の女王」とも呼ばれるそうですよ。
石の言葉は「聡明」と「勇気」と「知恵」だそうで、バリバリに仕事をこなすお嬢さんにはまさにうってつけの石ですよね。他にも「未来を予見し愛を育てる」なんていう意味も含まれるそうです。
さて、カクテルの方は、っと……ほのかに桃の香りの「マチャキート・ピーチリキュール」それと海の青を表現するためのリキュール「ザ・ブルー」そこにピリッと大人の味ウォッカ「アブソリュート・シトロン」最後にレモンジュースとシュガーシロップで味を調えてシェイクしてオンザロックのグラスでさぁどうぞ。
どうです?みずみずしい桃の香りに柔かいシトロンのウォッカが混ざり合っていい感じでしょう。
生命の源の海をイメージした青が生命の息吹を一番感じる春に相応しいカクテルですよ。
大きな海が3月産まれの人に特別にプレゼントしてくれてるような気になりませんか?
これに合う肴は、と、やっぱり大人の味「キャビアにクラッカー」と「野菜スティック」こんなもんでしょうか?野菜スティックのソースは「梅風味ドレッシング」「ゴママヨネーズ」の二種類ご用意しました。
今回のカクテル、ちょっと耳に馴染みの薄いレシピでしたか?でもそういうあまり馴染みの薄い酒を上手に合わせて呑むのも粋な大人の女性って感じでいいですよ。
なんてったってこれから春ですからね。
きっと「アクアマリン」を素敵に呑み干す貴女にお似合いの彼氏だって必ずできるってもんですよ。
勿論、その時はうちでお祝いしてくださいよね、彼氏の奢りで。


<2005.3.20>